イベント

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個人・親子向け

四季折々、森林や地域の魅力を発掘し、楽しみながら自然と人とが程よい距離感で関わることのできるイベントを各種提供しています。 日々の生活は、時間や情報に追われあわただしく過ぎ去ってしまいます。体験イベントを通してゆったりと自然に向き合い、森の恵みを享受しながら心身ともにリフレッシュしましょう。

【報告】アウトドアスキル森の教室 自然観察スキル②(2025年9月27・28日)

 

2024年度より、新規開講した講座「アウトドアスキル森の教室」
年間を通して森を多角的にとらえるカリキュラム。
キャンプ、森林整備、森林観察など森林での幅広い活動を行うスキルやセオリーを学べる講座です。
年間を通じ、この講座を受講しながら「やまぼうしインタープリター」としても活動できます。
実践的な講座内容は森林インストラクターを目指す方にもご興味を持っていただけます。
各分野の専門講師陣が実践講義とオンライン講義を担当します。

 

           

先月末にアウトドアスキル森の教室 自然観察スキル②が行われ、一泊二日で木曽へ。

初日は木曽郡木祖村の水木沢天然林を訪れ、今回案内をしてくださった湯川さんから木曽五木を教わるところから一日がスタート。

 

 

国内でも珍しいという針葉樹と広葉樹が混生している水木沢天然林。

針葉樹と広葉樹が混生するには標高や気候、土壌がお互いにとって生きやすいものでなければならないそうで、そんな特別な空間だからなのか…入るやいなや広がる澄み切った空気に、心なしか呼吸が深くなっていくのを感じました。

 

 

少し進むと、手入れが行き届いた遊歩道に驚く声がチラホラ。

ここ水木沢天然林の管理は村が主体となって行なっているとのこと。

根の浅い部分には保護を目的としたウッドチップが敷かれていたり、遊歩道のあちらこちらにはついつい鳴らしたくなるクマ鈴ならぬクマ鐘?が設置されていたり…森や動物や私たちに心が配られた森づくりがされているように感じました。

 

   

  

 

写真は、湯川さんがわざわざ持参してくださったホオノキの赤い実と休憩地点に落ちていたミズナラとコナラの葉っぱ。水木沢天然林のことはもちろんのこと、自然の面白さや不思議を最初から最後まで丁寧に楽しく教えてくださいました。

 

 

そして最終日となる二日目は上松町の赤沢自然休養林へ。

日本三大美林の一つとして知られる赤沢自然休養林はご存知の方も多いはず。

( と言っておきながら、私は今回の旅で学び(直し?)ました…ちなみに他の美林は青森県の青森ヒバ、秋田県の秋田スギ )

 

 

今回は、森林官の大野田さんと吉村さん、そして上高地白樺自然学校のガイドもされる百瀬さんにご案内いただきました。

まずはじめに『木曽悠久の森』についてお話がありました。

 

『木曽悠久の森』とは 

世界的にも貴重な温帯性針葉樹林を厳格に保存、復元するため、木曽地方の国有林16,579haに設定しています

( 引用:木曽悠久の森・中部森林管理局 - 林野庁より)

とのこと。

 

数百年後を見据え、天然林を広げ持続させていくために『木曽悠久の森』を天然林を保存する地域、人工林から天然林へと復元していく地域、それらの地域を守る緩衝地域の三つの地域に分け、現在計画的に作業されているとのことでした。

そんな壮大な計画を聞き圧倒されながら歩いていくと綺麗な川が。

 

 

この川もかつて丸太を搬出するために大きな役割を果たしていたのだそう。

その方法は床堰(とこせぎ)といい、一時的にダムのような物を木材で作り、水がいっぱいになったところで破壊し、水とともに丸太を流していくという搬出方法。

驚くべき昔の人の知恵と労力…。

 

 

そんな説明と説明の間には皆、昨日教わった木曽五木を見分けるのに夢中( 写真はヒノキ )。

マスターできたぞ!と思いガイドさんに挑むも不合格になっては消沈…を何度繰り返したことか…。

言い訳するつもりは決してありませんが、ベテランガイドさんでも(でも!笑)人が葉に触れられないほど伸びたヒノキとサワラを判別するのは難しいのだそう。

 

 

そして今年の6月に赤沢自然休養林で行われた伊勢神宮に奉納する御神木を伐り出す大祭である『御杣始祭』。

20年前に行われた『御杣始祭』で伐り出された御神木も赤沢自然休養林のもので、最後には、その20年前に行われた『御杣始祭』の切り株が祀られている場所にも案内していただきました。

 

 

奉納される御神木は慎重に慎重を重ね選び抜かれるそうで、材質や場所など様々な条件を満たしたヒノキでなければならないそう。

切り出す際には三方向から斧を入れ伐り込んでいく三つ紐切りという方法が用いられ、切り株の表面には実際に斧で切り出された際の痕跡が。なんだかずしんと感じるものがありました。

 

 

二日間を通し個人的に最も印象に残っていることは、初日にガイドをしてくださった湯川さんも、二日目にガイドをしてくださった森林官の方も、木曽ひのきの漆塗り曲げわっぱを愛用されていたこと。

木曽、そして木曽の自然を誇りに思われていることが自然と伝わってきて、私たちの誕生よりも前から存在し、私たちよりも長く生きていくであろう天然林の木々たちが、そういった人々の思いが合わさり繋がってきたからこそ守られ、これからも守られていくのだと確信した旅でした。

 

 

帰りの車内では「自然が豊かで人もあたたかくて木曽っていいところだね」「またゆっくり木曽に来たい」そんな声が。

まだ行ったことがない方は、ぜひ水木沢天然林や赤沢自然休養林に足を運んでいただき自然のパワーを全身で浴びて、森と私たちとの繋がりや関わり方について考えるきっかけにしていただけたらなと思います。

お天気に恵まれた二日間。

一日中案内をしてくださったガイドの方々、受講生の皆さま、本当にありがとうございました!

 

( 写真は受講生の方々が、天然林からもらったパワーで葉っぱを浮かせているところ。 ハンド…パワー!!!)

 

とんとん